本日より2学期が始まりました。
始業式に参加する生徒の整然とした入場や話に集中する態度は、夏期休業中も充実した日々が過ごせたであろうことを窺わせるものでした。
2学期も生徒の一段の成長を目指して頑張ろうという刺激を受けるほどの生徒たちの姿でした。
(2学期始業式 式辞)
2学期が始まりました。皆さんは、夏休みをどのように過ごしたでしょうか。部活に打ち込んだ人、勉強をがんばった人、夏休みにしかできない体験をした人、家の手伝いやボランティアを積極的に行った人…など、夏休みを有意義に過ごした人が多かったのではないかと思います。しかし、中には無駄な時間を過ごしてしまったなと後悔している人もいるかもしれません。
そこで、今日は、ある本の紹介をします。「上を向いて歩こう」や「見上げてごらん夜の星を」の作詞をしたことで有名な英六輔さんという人の孫である永拓実さんが、祖父である六輔さんの遺した言葉について書いた本です。
この中に「無駄なことは何もない、無駄にする人がいるだけだ」という言葉があります。この言葉について孫の拓実さんは、次のような体験を思い出しています。
拓実さんは、高校生の時、名門のバスケットボール部に所属し、日本一を目指していました。週7回、プロのトレーナーが組んだ練習をこなすきつい日々でしたが、それも「自分が求めたことだ」と耐え、試合に出る機会も増えつつありました。そんなとき、腰を怪我し、練習を離れることになりました。3週間で治る怪我でしたが怪我以上に精神的に悩んだといいます。それは、怪我で練習に参加できなくなったとき「ああ、楽でいいな」と思ってしまったからだそうです。それをきっかけに拓実さんは考え始めました。どうして自ら望んで厳しい練習を選択したのに練習できないことを喜んでいるのか、仕事でやっているわけでもないのになぜ嫌々練習しているのか、やりたくないなら辞めればいいだけの話じゃないか。復帰後もその思いは消えず、拓実さんはついに部活を辞めてしまいます。しかし、辞めた後の爽快な気分は、退部から数日しか続きませんでした。家に帰ってもやることがない、一緒に過ごす友達もいない、そして何よりアイデンティティがない。それまで常に何かに熱中して生きてきた拓実さんにとって、それは耐えがたいことでした。それに、月に一度だけ休みがあるから休みが待ち遠しかったのであって、毎日休みというのは苦痛でしかない。そんな当たり前のことにも気づかず、一時的な誘惑に負け、投げ出してしまったことで、味わったことのない強烈な後悔に襲われたそうです。
転機は全国大会の試合を見に行ったときに訪れました。その大会でチームメイトたちが全国ベスト8というすばらしい成績を残したとき、彼らに負けないくらい他の何かに熱中し、成果を出すしかないと気持ちが吹っ切れたそうです。拓実さんはこの鬱憤を勉強にぶつけ、東大に見事合格しました。
「無駄なことは何もない、無駄にする人がいるだけだ」
怪我をし、悩み、退部し、苦しむ。そういった経験も無駄ではなかったのかもしれない。そう思えるようになったのは、この言葉のおかげだそうです。
さて、2学期は、体育大会やコスモス祭、合唱コンクールなど、大きな行事が続きます。また、勉強にも運動にも取り組みやすい学期です。
無駄なことは何もない、無駄にしなければいいだけ。そう考えれば、失敗や傷つくことを恐れず、何事にも挑戦できる気がしませんか?
これから始まる読書の秋、スポーツの秋を、仲間とともに有意義に過ごし、いろいろなことに挑戦して、自分たちを今まで以上に高めていける2学期にしましょう。