すばらしい生徒たちに恵まれました。
卒業式退場時の一人一人の表情を見て、あらためてその思いを強くしました。
卒業生285名、まっすぐにこちらを見つめる生徒たちの表情。
感動に満ちた卒業式をありがとう。
卒業生の前途を祝福します。心からおめでとう。
式 辞
(前文省略)
285名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。こうして、多くのお客様をお迎えして皆さんの卒業式ができますことは、岩倉中学校にとって大きな喜びであります。
皆さんとの出会いは、三年前の四月でした。皆さんは、岩倉中学校の新入生として、常に「ABCDの原則」を意識し、みんなで協力して、規律正しい学校生活を築いてきました。最高学年になってからも、一人一人が学校づくりのリーダーとして活躍し、「当たり前」のレベルアップに努めてきました。心も身体も立派に逞しく成長した皆さんを、本校の卒業生として送り出すことを、職員一同、大変誇りに思っています。
これまでの皆さんの活動を振り返って、本日の卒業を前に、岩中新聞に「ABCDの原則元年生」と題して、記事を載せておきました。
「A:当たり前のことを、B:バカにしないで、C:ちゃんとやれる、D:できる生徒」である皆さんは、それを土台に多くの新たな伝統を積み上げてくれました。
修学旅行先では、日頃学校で行っている当たり前のことを他の場所でも自然に行うことで本校の当たり前を発信し、訪問先の人々から絶賛されました。
本年度から始まった教科係会では、毎日の授業への取り組み方を、学ぶ立場である自分たちからも改善しようと話し合い、話し手と聞き手は互いに注目し合うこと、忘れ物0を目指すこと、ペアやグループで話し合ったことを積極的に発表することなど、学びにおける当たり前を高める取組をしました。
生徒会の行事活動部では、鳴子ソーランの有志百名越えや、体育大会の応援合戦を全校生徒で踊るという初の試みを成し遂げました。また、日常活動部では、ネックウォーマーの着用を巡って「2分前着席キャンペーン」に取り組み、その達成率を高めました。
清掃活動では、教師の指示がなくても、無心に床を磨き、隅々まで掃き清め、丁寧にゴミを取るなど、一人ひとりが自らに問いかけ、考えて行う自問清掃を岩中の当たり前にしました。
このように皆さんが成し遂げた「当たり前のレベルアップ」は枚挙に暇がありません。
皆さんの業績は、在校生が本校の伝統として、しっかりと受け継ぎ、更に発展させてくれることと思います。また、これら活動の数々は、これからの皆さんの人生の大きな財産になると確信いたします。
いよいよ四月からは、高等学校や専門学校、就職などそれぞれの道に進みます。巣立ち行く皆さんに、一つお願いがあります。
それは、卒業した後にこそ、「ABCDの原則」を貫いてほしいということです。
世界最高峰の学び舎であるアメリカのハーバード大学で、いちばん人気のある国は日本だそうです。ハーバード大学の一年生は、毎年春になると諸外国へ研修旅行に行くのですが、日本への研修は、定員の百名がわずか数分で埋まってしまうほどの人気だそうです。
人気の秘密は、日本文化や企業経営などについて学ぶことにもありますが、それにもまして日本人の思いやりに感動するからだそうです。「小銭がなくて困っていたら、近くの人が両替してくれた」「道に迷ったら目的地まで案内してくれた」「土産物店では美しい包装紙でテキパキとラッピングしてくれた」など、日本では当たり前のことが、日本人以外の学生にとっては感動ものなのです。世界に名だたるハーバードが、日本の「当たり前」を学ぼうとしているのです。
本日巣立っていく卒業生が身に付けた「当たり前」は、世界で活躍できる資質なのです。今後どのような社会に出ようとも、礼儀正しさや、時間を守ること、周囲をきれいにすることなど、「ABCDの原則」を貫けば、仕事を任せてもらえる人、相談してもらえる人、信頼される人になることでしょう。この中学校3年間で培った「当たり前」を武器に、やがて、我が郷土である岩倉市や日本を支え、世界に羽ばたく立派な人材になってくれることを願っています。
最後になりましたが、今日家へ帰ったら、ぜひ家族の人に感謝の気持ちを伝えてください。小さい頃から、ひたすら君たちの成長を願い、今日の日を心待ちにしてこられました。心をこめて「ありがとう」を言ってほしいと思います。
微笑みと活力に満ちた君たちの前途に幸多かれと祈り、式辞といたします。
平成28年3月4日
岩倉市立岩倉中学校長
野 木 森 広