本日は1・2年生で朝礼を行いました。表彰伝達に引き続き校長先生から中国の客家の教え「恩送り」についてのお話がありました。本年度ももうすぐ終わります。新学年に向けてがんばっていきましょう。
今日は「客家(はっか)の教え」というお話をします。客家(はっか)とは、中国の福建省などに住む漢民族のことです。元々は古代中国の王族だったようですが、戦争から逃れるため、次第に中国南部へと移住しました。
客家の人たちは特殊な構造の家に住んでいます。これが、客家の集落です(下の写真)。円形をしています。外周部分は3・4階建てになっていて、各階に何軒もの家族が住んでいます。ちょうど中庭を見下ろす円形のアパートのようです。これは現在、「福建の土楼」として、世界遺産に登録されています。
そして、この客家からは、世界的な成功者がたくさん出ているのです。例えば、中国の孫文や登小平、台湾の李登輝総統、フィリピンのアキノ大統領、シンガポールのリー首相、タイのタクシン首相などです。すごいですね。
あるときここを取材した日本のテレビ局のリポーターが、客家の長老に聞きました。「なぜ、この小さな村から優れた人物が生まれたのですか?」
すると長老は、それは客家には「隣の人に親切にしてもらったら、その人に恩返しをするのではなくて、反対側の隣の人に親切にしなさい」という教えがあるからだと言いました。これを恩返しに対して恩送りというのですが、客家の集落は丸いので、恩送りをすれば、いつか回り回って自分に返ってくるというわけです。
この教えと、多くの成功者が生まれたこととの関係は定かではありませんが、人に親切にされたら別の誰かに親切にするという行いは、多くの人に親切が広がる、とてもいいことだと思います。また、客家の人たちは、人に親切にしても、その人からは親切が返ってこないので、自然に、人に親切にするときに見返りを求めないという習慣が身に付いたのではないでしょうか。このような生き方は、とても尊敬できることですよね。
さて、3年生が卒業しました。皆さんは3年生から何を学びましたか。
少し前に、ある保護者の方がアンケートにこんな感想を書いてくださいました。「先日、懇談会のときにスリッパを忘れて、廊下を靴下で歩きました。でも校舎内がとてもきれいで、階段もきれいに掃除されていたので、靴下も汚れることなく帰ってくることができました。気持ちよかったです。いつも子どもたちが掃除を頑張っていることをホームページで見ていたので、納得でした。」どうですか。とても嬉しい感想ですね。
皆さんは、これまで3年生の人といっしょに、このように人に喜ばれるような、素晴らしい岩中を作ってきました。
さあ、今度は皆さんがリーダーとなって岩中を作っていく番です。もはや3年生はいないので、これまで3年生が示してくれたお手本や、与えてくれた感動、魅せてくれた岩中生としての誇りやあり方に対して恩返しをすることはできませんが、4月に新しく入ってくる1年生に恩送りをすることはできます。これまで以上に、素晴らしい学校を作ることが、3年生への本当の意味での恩返しになるのではないでしょうか。
皆さんはどんな恩送りをしますか? そしてどんな岩中を作りますか?