（１１月４日　校長講話）
　先日、ある知り合いの校長先生から聞いた話を紹介します。
　その校長先生が高校生のときの話です。陸上部にとても足の速い、しっかりとした友達がいたそうです。
　高校は、毎日お弁当です。その友だちのお弁当のおかずはいつも卵焼きでした。昨日も卵焼き、今日も卵焼き。みんなは彼が卵好きだと思い、彼のことを「たまご」と呼んでいたそうです。
　あるとき、１日も学校を休んだことがなかった彼が、学校を休みました。そのとき、担任の先生から彼のお母さんが亡くなったことを聞いたそうです。そして、お母さんは長い病院生活をしていたことも知らされました。
　そのとき、その校長先生は、彼を「たまご」と呼んだことを悔やんだそうです。「毎日の卵焼きは、自分で作っていたのか、それともお父さんが作っていたのか。彼をたまごと呼ぶたびに、お母さんのことを思い出させてしまった。何十年たっても後悔している」と言われました。
　どうでしょうか。皆さんの周りには、何らかの事情で悲しいことや苦しいことを抱えている人はいないでしょうか。そして、その人を知らず知らずのうちに傷つけてしまっていることはないでしょうか。
　「どうしてだろう。人は人を傷つけ、大切なものを無くしてく」、毎日掃除の時間に聞いている『トイレの神様』の歌詞です。人を傷つけないのは「当たり前のこと」ですが、よほど気を付けないと、人を傷つけてしまうことがあります。
　私たちには、それぞれ幸せに生きる権利である「人権」があります。これから１２月の人権週間までは、人権についていろいろ考える機会があります。
　今日の授業参観でも、１・２年生は人権に関する道徳の授業を行います。人を傷つけない、互いが幸せに生きるといった「人権」についてよく考えてみましょう。