校長先生より「倍返し」という流行語を通して「寛容」の気持ちについてのお話、週番の先生からは日本のおとぎ話「浦島伝説」についての紹介がありました。
今日は、少し前から、校長先生が気になっていることについて話します。
それは、昨年の流行語大賞にもなった「倍返し」ということについてです。
この言葉のもとになったテレビ番組では、悪いことをした人にそれ以上の仕返しをするので、確かに気持ちがすっきりとします。しかし、仕返しはそのまた仕返しを呼びます。これがエスカレートしていったら世の中は争いだらけになります。
しかし、そうならないのは、人間にはどこかで人の過ちを許すという寛容の心があるからではないでしょうか。
校長先生が、この寛容の心に初めて触れたのは、校長先生がまだ幼稚園か小学校低学年のころ、校長先生のおばあちゃんとのあるふれあいからでした。校長先生のおばあちゃんは花を育てるのが大好きでした。校長先生がおばあちゃんのうちに遊びに行くと、畑にはいつもきれいな花が育てられていました。ある年の5月のこと、いつものようにおばあちゃんのうちに行くと、畑には色とりどりケイトウの花が咲き誇っていました。校長先生はその美しさに見とれて、思わずケイトウの花を両手いっぱいに摘みました。そして、おばあちゃんに見せようと「ほら、きれいだよ」と畑仕事をしていたおばあちゃんに声をかけました。するとおばあちゃんはふりかえって、一瞬悲しそうな表情をしました。しかし、次の瞬間、いつものやさしいおばあちゃんに戻って「ほんとだね、きれいだね」と言いました。おそらくおばあちゃんは、丹念に育てたケイトウが花だけ無残にむしりとられているのを見て、とても悲しくなったのでしょう。しかし、あどけない孫が両手いっぱいの花を無邪気に喜んでいる姿を見て許す気持ちになったのだと思います。校長先生はそのときのおばあちゃんの一瞬の表情を見て、子ども心に「もう二度と人を悲しませることはやめよう」と深く反省しました。おそらく、おばあちゃんに叱られるよりも、許されたことで、よりいっそう反省の気持ちが深まったのだと思います。
人に何か嫌なことをされたときに、仕返しをしたくなるのは自然な感情です。しかし、人の過ちを許す寛容の心はさらにレベルの高い感情です。もちろん、相手の反省とか理由などにもよりますが、その状況に合わせて、人の過ちを許すレベルの高い感情を持つことも、大人になるための心の成長のひとつですね。自分の心は成長しているかどうか一度振り返って見ましょう。