よく晴れた今日、無事に岩倉中学校の卒業式を執り行うことができました。皆さんの人生がこれからも幸多きことを心からお祈り申し上げます。卒業おめでとう。
桃の花香る節句のよき日に、ご来賓として、岩倉市副市長 柴田義晴様、岩倉市教育委員会の方々のご臨席を賜り、本校第七十五回卒業式が挙行できますことは大きな喜びであります。高いところからではございますが、厚く御礼申し上げます。
保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。手塩にかけたお子様が心身共に立派に成長し、ここに義務教育修了を迎えられたことに、お喜びもひとしおのことと存じます。これまでのご苦労に深く敬意を表しますと共に心よりお祝い申し上げます。
さて、二百七十名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんに最初に、お祝いと共に伝えなくてはならないことがあります。それは、本当に申し訳なかったというお詫びの気持ちです。本来であれば、学習に運動に、そして、行事等教育活動に情熱を燃やし、青春を謳歌できる中学校生活が、コロナ感染のため、様々な制限、窮屈な思いをさせたことと思います。申し訳ない思いで一杯です。
皆さんと出会った三年前の入学式、その時には、コロナウイルスの存在も、言葉さえも知りませんでした。それが、一年の三学期から感染が拡大し、一年の終わりから二年の始めにかけて三か月に及ぶ臨時休校となりました。一年のまとめ、二年のスタートが十分にできないまま、六月に学校を再開した時からは、学校生活が大きく変わりました。行事等は中止せざるを得なかったものもありました。その一つが二年時の宿泊学習です。延期をした上の中止、本当に辛い思いで、その決断を皆さんに伝えました。
だからこそ、三年の修学旅行は絶対に実現したいと強く思いました。しかし、目的地の変更、実施日を延期し、何とか実施することができました。三日目に皆さんと一緒に見た絶景の富士山、今でも思い出されます。三日間を終えた時、実施できて本当によかったと、ほっとした安堵の気持ちで一杯でした。
その他にも、中止ではなく、限られた条件の中で行ってきた体育大会の応援合戦、コスモス祭の有志ステージ発表、合唱発表会、コロナ禍であっても、やれることに全力で取り組む皆さんの姿は下級生の目標、あこがれであり、下級生は伝統をしっかり受け継いでくれると信じています。
校長として四年間続けてきた三年全学級での道徳の授業、皆さんの考えを直接耳で聴き、皆さんの表情を直接目で見て、皆さんを身近に感じることのできた幸せな時間でした。
そして、一週間前に三年生を中心に、全校で開いてくれたサプライズの会、代表の発表を聴いていると、今まで校長として行ってきたこと、言葉にして伝えてきたことは決して間違っていなかったのだと確信がもて、うれしい気持ちになりました。ABCDの原則プラス感謝、謙虚な気持ち、これからも大切にしてほしいと思います。さらに、昨日のサプライズ、思わず涙がこぼれました。最高の思い出となりました。皆さんからいただいたメッセージ、昨晩、校長室で、一人一人読ませてもらい、思い出に浸っていました。ありがとうございました。
今年度は、夏に東京オリンピック、冬には北京オリンピックが開催され、それらの大会で輝きを見せたのは、皆さんと同じような若い選手の活躍でした。彼らに共通していることは、当然、緊張もあったと思われるのですが、それ以上に、大会を、競技を楽しんでいるということです。それは、練習の時から、辛く、厳しい練習であっても、決して、楽しむことを忘れていないからこそできることだと思います。
皆さんはコロナ禍であっても、きっと、中学校生活を楽しむことができたと信じています。これからも、楽しむことを忘れず、コロナを乗り越え、新しい社会を築いてほしいと願っています。
結びにあたり、皆さんが卒業した後、私自身も今月末、岩倉中学校を卒業します。校長として、教員として、皆さんは私にとって、最後の卒業生となります。
修学旅行での私からのギフトとして披露した歌の題名は「君を忘れない」
君たちのことは決して忘れません。
ギフト学年として、皆さんが育ててきた胸の奥にあるギフトが光り続けることを祈念し、式辞といたします。
令和四年三月三日
岩倉市立岩倉中学校長 高御堂 勝久