南中校長室の窓「入学式式辞:奇跡のリンゴ」
- 公開日
- 2010/04/07
- 更新日
- 2010/04/07
南中校長室の窓
本日、やや肌寒い中でしたが、平成22年度入学式を行いました。その中での式辞の概要をお知らせします。
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先週までは、まだ春はほど遠いなあと感じるほど肌寒い日が、続いていましたが、皆さんの入学を祝うように、温かくなってきました。
桜満開の今日のよき日、132名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
私たち岩倉市立南部中学校の教員・生徒一同心から皆さんの入学を歓迎します。
今日から、皆さんはこの「元気で明るく、地域に愛される南部中」の一員です。今日からは小学生ではありません。ちなみに、電車は大人料金ですよ。これまで許されていたり、甘やかされていたりしたものが、そうでなくなってきます。その自覚をしっかり持ちましょう。
(リンゴの木を出す)
皆さんの入学にあたって「奇跡のリンゴ」という話をします。これは、4年ほど前にNHKでも放送されたので、知っている人もいるかもしれません。
リンゴは多くの人がおいしいと感じるように、虫たちも好んで寄ってきます。今でも、リンゴの栽培に農薬は欠かせません。今、現在ですらリンゴの無農薬栽培は不可能だと言う専門家は少なくありません。
その不可能を可能にすることに文字通り命をかけた人がいました。
青森県に住む木村秋則さんという人です。農薬を使っても最終的なリンゴは安全です。しかし、農薬が強いので、それを扱う農家の方は大変なのだそうです。木村さんの奥さんは、リンゴの農薬栽培を続けるうちに体をこわしてしまいました。
木村さんは、全財産を投げ打って無農薬リンゴの開発を始めました。1年経ち、2年経ち、3年経ち、4年経ちましたが、一向に先は見えてきません。一家は崩壊寸前になり、木村さんは自殺を決意し、ロープを持って岩木山の奥深くへ入りました。そこで、偶然目にしたのが、リンゴと見間違うほど大きく実ったドングリの木でした。
「こんな山奥で人の手が入っていないのに、何でこんなに立派な実が……。」
これは、天がくれたヒントかも…自殺を思いとどまり、次の日からその木を調べました。
その結果、大切なのはしっかりした根と柔らかい土だったのです。
木村さんの言葉です。
「ドングリの木の幹の太さはせいぜい15センチというところだったが、その根は驚くほどしっかりしていた。掘っても、掘っても、丈夫な根がどこまでも続いていた。若い木なのに、根は太くて長くて、しかも細かな毛のような髭根がびっしりと生えている。自分の畑の土とはまったく違う柔らかい土の中を、どこまでもどこまでも伸びていた。」
その後、土を改良し、根がしっかり伸びるリンゴの木を開発して、無農薬栽培のリンゴを完成させました。それは「奇跡のリンゴ」と呼ばれ、味と香りは抜群で、リンゴを切って置いておいても、水分は抜けるが、決して腐らないそうです。
(リンゴの根が浅いとすぐ倒れること、深いと倒れにくいことを実演する)
中学校というところは、将来に向けて倒れないようしっかり立つために、力強く根を伸ばすところです。この3年間の南部中の生活で、1本でも多く、1センチでも深く根をはりめぐらせてください。
どんな根を伸ばしてほしいか、3つありますが、それはこの後の始業式の話にまわします。
皆さんが卒業するときに、どれだけ根を伸ばして巣立っていくのか、今からとても楽しみです。明日から、いや今日から、一緒に根を伸ばしていきましょう。
新入生の保護者の皆様、本日は中学校ご入学、誠におめでとうございます。義務教育も野球で言えば7回表、後半を迎えました。制服に身を固めた我が子を目の当たりにし、改めて我が子の成長を感じられたのではないでしょうか。今日から3年間、保護者の皆様方のご期待に添えますよう、全職員一丸となってお子様の成長にかかわってまいります。卒業時に「南中へ通わせて本当によかった」と評価していただけるよう、全力で取り組んでまいります。しかし、保護者の方々のご理解とご協力がなければ、お子様を磨き、鍛え上げることはできません。皆様と連携し手を取り合って、生徒たちを見つめ、指導・支援していきたいと思います。どうか、本稿の教育活動にご理解とご協力を賜りますよう、高い席から恐縮に存じますが、よろしくお願いいたします。
以上で、平成22年度入学式の式辞といたします。
平成22年4月7日 岩倉市立南部中学校長 藤田雅則
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